母乳と薬の基礎知識。授乳中の服用可能な頭痛薬と飲むタイミング。

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こんにちは。ホシ姐です。

風邪をひいてしまいました。全身だるくて頭痛がします…。

冬場の夜の授乳はしんどいですね。私は基本添い乳なのですが、それでも胸から上が布団から出るので夜寒いです。そのままウトウトしてたので風邪ひいたんでしょうな。

母乳育児のママにとって、薬の服用は気になる問題です。ちょっと頭痛がする、風邪をこじらせたぐらいでは病院に行かない場合も多いです。

そこで、今回は薬剤師の観点から、授乳中の服薬についての基礎知識、そして授乳中にも服用可能な解熱鎮痛剤について書いてみたいと思います(たまには真面目にね)。

お役に立てたら幸いです。

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1.授乳と薬の基礎知識

1.薬は血中に溶けこんで効果を示す!

飲み薬はどうやって効果を示すかご存知ですか?授乳と薬の関係を理解する上で大切なので、これを機会に是非知って頂きたいです!

ママが口から薬を飲むと、ほとんどの薬は胃を通って小腸で吸収され、血液の中に入ります。血液に入った薬は肝臓で一部代謝され別の物質に変化しますが、代謝しきれなかった薬は血液によって全身を巡ります。そして、炎症を起こしている場所や痛みがある場所など、不調部位に届いて薬効を示すのです(一般論です。中には肝臓で代謝を受けて出来た物質が薬効を示すこともあります)。

ポイントは「飲み薬は血中に溶け込んで全身を巡って薬効を示す」です。

 

2.母乳が作られる仕組み

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(引用元:乳房の断面図 原三信病院 図版)

 

次は母乳が作られる仕組みについて、知っていただきたいことがあります。

母乳は血液と成分が似ているという話を聞いたことはありませんか?

それもそのはず、母乳はママの血液から作られるから成分が似ているんです!

母乳はママの基底部と呼ばれるところから運び込まれた血液が、乳腺でこされて作られます。出来た乳汁は一時的に乳管洞にたまり、赤ちゃんが吸うと出てきます。

 

簡単に言うと血液は原料、乳腺は母乳工場、乳管洞は貯蔵タンク、乳頭は蛇口、蛇口をひねるのは赤ちゃんてことです。

ここでのポイントは「母乳はママの血液をこして作られる」です。

 

ちなみに母乳が白いのは、乳腺で母乳を作る際に赤血球が入らないようなフィルターがあるためです。赤血球はフィルターの目よりも大きいので、通過出来ないようになっています。

 

3.ママの飲んだ薬は母乳を通して赤ちゃんに!

薬は赤血球のようなタンパク質とは異なり分子が小さいので、ママの血中に入った薬はこのフィルターを通過し、赤ちゃんが口から摂取することになります。

授乳中の服薬に気をつけなければいけないのはこのためです。

母乳に溶けている薬の量は、ママの薬を飲むタイミングや飲んだ薬の種類によってケースバイケースです。母乳に移行しやすいもの、副作用が起きやすいもの、起こりえる副作用が重大なものなどには注意が必要で、場合によっては授乳を控えなければならないこともあります。

 

一方で服薬中であっても授乳可能な薬は沢山あります。事実、ほとんどの薬は母乳中に移行はするけれども量的には非常に少ないことが分かっています。

母乳はできるだけ続けた方赤ちゃんには好都合です。ママの母乳の中には栄養だけでなく免疫成分も沢山入っていますからね。それに急な断乳は乳腺炎の原因にもなります。

ママの服用している薬が赤ちゃんに影響しにくいものであれば、ママは薬を飲み、赤ちゃんは母乳を飲んだ方が良いわけです。薬の害を心配しすぎて、自己判断で母乳を中断しないようにしましょう。正しい知識を身につければ、ママが体調を崩した時、ママか赤ちゃんのどちらかが我慢しなければならないという事態を避けられます。

 

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4.添付文書の授乳婦についての解釈

医薬品には添付文書という薬の説明書が入っています。添付文書は決まりに基づいて製薬会社が発行している文書で、薬の成分や薬効、用法用量、副作用情報、薬を投与した時の体内での動きを見たデータなどが事細かに記載されています。

病院や薬局でもらう薬には添付文書はついて来ませんが、代わりに薬の説明書がついてきます。妊婦さんや授乳婦さんの服薬に関しては大概その説明書に記載がありますし、薬を受け渡す際に薬剤師が説明をしてくれると思います。

しかし、添付文書にはあいまいな表現が多いです。「授乳中の本剤投与の安全性は確立していない」とか「本剤投与の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与を考慮する」とか…。

そんなあいまい表現がそっくりそのまま薬の説明書に書かれている薬局も結構あります。受け取ったママの頭の中は不安でいっぱいです。「本当に飲んで大丈夫なのかな?」って思いますよね。

心配なので、症状が出た時だけ飲むことにしようかな…と考えるママも出て来ます。これ、良くないパターン!

 

添付文書に「妊婦や授乳婦への安全性が確立されている」と記載されることは、まずありません。これは何かあったときのことを避けるためでもありますが、大規模な試験や調査をして安全性を分析するまでには至っていないということです。でも、臨床現場で仕事をしているお医者さんたちは、経験から比較的安全に使用出来る薬、避けるべき薬のことを知っているので、添付文書であいまい表現される薬についても処方することがあるのですよ。

なので、授乳中であることを知らせた上で処方してもらった薬であるのなら、基本的にそのお薬を飲んで構いません。

ただ、飲み始めてから赤ちゃんの様子に変わった点がないかについては観察するようにしてください。

 

 

5.服薬中は赤ちゃんの様子を観察しよう

ママが薬を飲みながら授乳を続ける場合は、赤ちゃんを観察します。もし次のような点が見られたらママの薬が影響している場合がありますので、処方医に相談してください。赤ちゃんの症状がひどければ、小児科の受診もしてくださいね。

•母乳を飲まなくなった

•いつもより元気がない

•ウトウトして寝る時間が長くなった

•おしっこが出にくくなった

•発疹が出た

•機嫌が悪い

•下痢をしている

なお、どうしても心配で第三者機関の意見が聞きたいという場合は、国立成育医療研究センターに相談する方法もあります(手続きがちょっと大変)。

 

2.授乳中に服用可能な頭痛薬(解熱鎮痛薬)について

さて、ここからは具体的に解熱鎮痛剤の授乳婦への投与について書いていきたいと思います。

成分名と先発品医薬品名、それに対する授乳婦への投与の安全性評価などの情報を示しています。

 

評価の見方

◎は多くの授乳婦に使用した経験から安全性が示されている薬で、母乳中に移行しないまたは移行量がごく微量で移行しない場合とほぼ同等であると専門家が評価している。

○は調査データの数が少ないものの、乳児へのリスクはとても小さいと考えられるもの。授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠がないもの。

△は乳児に有害な影響を及ぼすかの旺盛があり、授乳中の使用に注意が必要なもの。安全性を示す情報が見当たらず、より安全な薬剤の使用を検討した方がよいもの。

×は薬剤の影響がある間は授乳を中止する必要性がある。研究がなされていないので、リスクが解明されるまで授乳を回避するべきもの。

参考引用元:大分県「母乳と薬剤」研究会

なお、今回ご紹介する薬の評価は大分県「母乳と薬剤」研究会の資料を参考にしており、それ以外の薬学的情報や注意点については追記しています。

 

1.アセトアミノフェン

評価:◎

母乳移行性はごく少量で、母乳育児に適しています。乳腺炎や産後の痛みにも処方されることがあります。熱や痛みを取る効果があるが、炎症を抑える作用は弱いとされています。

 

2.総合感冒薬

評価:○

総合感冒薬は解熱鎮痛剤の他にくしゃみ鼻水などを抑える抗ヒスタミン剤、カフェインなどが入っています。用法用量を守り、長期連用は避けてください。一週間程度なら問題なし。ただし、これを飲んでママがひどく眠くなるようなら、母乳育児の妨げになるので別の薬への変更を考慮してください。

 

3.イブプロフェン

評価:◎

成育センターならびに東京都・大分県薬剤師会の資料、アメリカ小児科学会の資料によると、投与可能とされています。

母乳移行性はごく少量で、母乳育児に適している。市販薬にもイブプロフェンを主成分にしたものが存在しますが、薬剤師に相談し、成分を確かめるようにしてください。

 

どうしても気になるママは、薬の血中濃度が高くなる時間を避けて授乳しましょう。

イブプロフェンの錠剤を内服した場合、最高血中濃度時間は2.1時間です。

 

4.ジクロフェナク

評価:◎

成育センターならびに東京都・大分県薬剤師会、Medications & Mother’s Milk 13版によると、授乳中も投与可能となっています。

どうしても気になるママは、薬の血中濃度が高くなる時間を避けて授乳しましょう。

ジクロフェナク錠の最高血中濃度時間は2.7時間、徐放カプセルは7時間です。参考までに。

 

5.ロキソプロフェンナトリウム

評価:○?

ロキソプロフェンナトリウムは市販薬として薬局で販売されている他、病院でも処方されることがありあます。

母乳移行性はごく微量であるというデータはありますがデータ数が少なく、授乳婦への投与について評価をしている資料が今のところあまりありません。

 

6.インドメタシン

評価:○

母乳に移行するものの、たまに使用する分には問題ないとされています。代謝の関係で連用すると赤ちゃんに蓄積する可能性があるので、長引く痛みには向かないかもしれません。アメリカ小児科学会や成育センターでは投与可となっています。

Medications & Mother’s Milk 13版では安全性は中程度。赤ちゃんへの影響が気になるようなら、薬を医師に相談して変えてもらうか、授乳のタイミングを工夫するのが良いと思います。

最高血中濃度時間は2時間です。参考までに。

 

3.まとめ

ということで、今回は長々と母乳と薬についてお送りしました。私自身は頭痛や熱の時にはアセトアミノフェンを使用しているのですが、他にも比較的安全に使用できる薬がありましたね。

薬は駄目とハナから決めてかかると、痛みや熱を我慢しながら育児をしないといけなくなるので大変です。

最近は母乳育児のメリットを産科小児科以外の科の医師や薬剤師も認識し始めていて、なるべく母乳を継続できるよう、お薬情報をより実用的なものに整理しようという動きがあるようです。

ママたちや赤ちゃんにとってはとても良いことですね!

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

今話題のロキソニンの副作用について→ロキソニンと腸閉塞は無関係!空腹時かどうかも無関係…と思う理由

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